2022年03月30日

完結記念かいてんげるのお話その3

今回は工房の看板娘でもあったショーコのお話。
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看板娘ゆえにおおゆき工房開設10周年とか20周年とかでも触れてはいるのですが、そもそもの元ネタは、「おめでとうございま~す!」の傘回し芸で知られた海老一染之助・染太郎両氏ですね。
今はもうすっかり廃れた文化になりましたが、当時はキリ番を祝う風習というのがありまして、よくそれでおめでとうございま~すって書き込みをやってたのを、工房長とショーコというキャラにしたという。

ショーコの名前の由来は照降傘(てりふりがさ)という晴雨両用の傘の名前を音読みした形です。
カタカナじゃなくて漢字の方が本来の名前なので、かいてんげる作中でもダーさんが照降呼びしてるんですね。
(源平合戦の過去編はこれの補足みたいな面もありました)


立ち位置的にショーコはかいてん達島のロボットの憧れの存在ではありましたが、基本的にダークマターとの絡みをメインに置いていて、かいてんとの仲がどうこうというのは最初から想定していませんでした。
ショーコ、理論、工房長の工房マスコットキャラ組では、理論にその役割を振った形になりますね。


ダーさんやアズライアなどの他のロボット達は、かいてんげるを始めるにあたって付け加えたキャラ達で、当初から「二体一組で同一のロボットがいる」という設定がありました。
ただダーさんの二号機に関しては、今はもう無いのか火星で出すのか地球で出すのかかなり迷ってたところがありまして、展開次第でどうにでもできるようにしていました。
「異邦人症候群」でサクリオードを出すにあたって、ようやく彼の居所が明確になった形ですね。


ちなみにショーコはロボットですが、オートマタ―と形容してた事もありまして、ショーコに対抗するロボットを考えた時に、「闇のオートマタ―だからダークマターだな」みたいな安直な考えからできたのがダーさんだったりします。(笑)
マグアスなのになんで英語なんじゃい!ってツッコミが来るのは必至なのですが、言語に関してはもう完全に通じるものとしてそのあたりの設定考証は一切無視する方針で描きました。

作中でもロボットなのかオートマタ―なのか人型ユニットなのか、その都度言い方を変えてた面もあって、基本的にマグアスの立場で言う時は人型ユニット、現代の立場で言う時はロボットみたいに言い換えてた形ですが、厳密な呼び分けはしていませんでしたね。


ショーコとダーの関係については最初っからツンデレというか、愛するが故に戦うみたいな感じで考えてたのですが、作中でダーがしでかした所業を考えると、さすがに彼は生き延びて幸せにはなれないな、と思ってあのような結末になりました。
二人が本当に和解するような展開にできるのか、手探りで話を進めてた面もあったのですが、とりあえず納得のいく形で収まったと思います。
まあ結果的にショーコが可哀想ではあるのですが、ショーコはショーコで色々やらかしてるし、そのあたりは因果応報なのかもしれませんね。


ショーコの姉妹たちの中でも最後発のレミットとミスライに関しては、作中でも大した描写がなく消えてしまいましたが、あの二人はショーコ達の前線投入が決まったために急遽駆り出されたので、人格形成の期間もあまりなかったという設定があり、最初から彼女らの話はやる予定はありませんでした。
アレスの回想で、火星にやって来たアーノスの占領軍を食い止めるための戦いの時にちらっと描写していますが、あれで破壊されたという形になりますね。


元ネタの染之助・染太郎氏がそうだったように、傘回し芸で祝うショーコは「〇〇記念」の絵などの祝い事で描写するには実に使い勝手がいいので、今後も何かの記念イラストで顔出しするかもしれません。
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2022年03月23日

完結記念かいてんげるのお話その2

今回は主役であるかいてんくんのお話。
これもまた10年前に書いたことの再掲みたいになりますが、改めてということで。
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前回に書いた通り、かいてんげる連載当初は本来の長いストーリーはやるつもりはなかったので、ダイジェストの話でも分かりやすいようにナレーション役というか狂言回し的な感じで世界を見る感じのキャラを置きたいな、という考えで作ったのがかいてんくんというキャラでした。

これも10年前の再掲になりますが、初期イメージはこんな感じで「ああっ女神さまっ」に出てくるばんぺいくんをモチーフにして、それを色々いじくって連載開始時の形になりました。
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ただ実の所かいてんくんのデザインは当初はそんなに気に入ってたわけでもなく、物語の進行とともに理論にあちこち改造させて、最終的には人間っぽい外見にするつもりでした。
でも描いてる時にふと閃いて風船のようなでっかい手を描いてからは、それがなんかしっくりきて自分の中でキャラが立った感じになったんですね。
(結局改造したのは、人間の服を着せやすいように手の出る位置を変えたくらい)


「かいてん」の名前はメタ的には「かいてんげる」のタイトルから付けたのですが、作中においては彼を拾ったすもぐりくんが「お前頭くるくる回転するからかいてんな」って命名した形になります。
このエピソードを最初の方に出しそこねて、実際に作中で出したのはもう終盤も終盤になってからのかいてんくんの回想という形になってしまったのは、失敗したなあって思う事の一つだったりします。(^^;


元々狂言回し的役割だったので、彼自身はどちらかと言うと傍観者で物語の根幹を引っ張っていくという形ではなかったのですが、仕切り直して長編を最後までやる(かもしれない)ってなった時に、改めて彼を本格的に物語に関わらせる仕組みを考えて、そこで相手役?としてのイェミリアを置いたのです。

地球人で今一緒にいる理論と、マグアス人で過去の関係があるイェミリア。
この二人との三角関係みたいな形を想定していたのですが、キャラクターの性格を突き詰めて考えていくと、どうも理論は恋愛脳にはなりようが無いって思ったので、この関係は最後まで結論が出ない形で終わってしまいました。
かいてんくんはかいてんくんでありマグアスの「あの人」ではない、という事も重要なポイントなので、単純にイェミリアに乗り換えるって形にはしなかったのですが、このあたりの展開も、もうちょっと何とか出来れば良かったかなあと思っています。


完結して改めて、かいてんくんって絵的にも描きやすくて(笑)動かしやすい良いキャラだったと思います。
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2022年03月16日

完結記念かいてんげるのお話その1

さて、「かいてんげる」の連載が完結したので、それにまつわるいろんな話を改めて書いていきたいと思います。


まずは連載を始めた経緯の話などを。
前編の「~夢見るロボット工房~」が終わった時にも書いていますが、まあそれを書いたのは10年以上前の話なので改めてということで。

おおゆき工房を開設した当時の話は去年の20周年記念の時にも書きましたが、当初は二次小説やちょっとした漫画の掲載がメインのサイトでした。
でも元々自分はほとんどオリジナルばかりで二次創作はそれまでほとんどやってなかったので、やっぱり自分の作品を掲載したいなと思ったのが一つ目の理由。
当時はまだあまり一般的でなかったデジタルでの漫画制作の研究のために、連載をしながらそれをやっていこうというのがもう一つの理由でした。

とはいえ当初はこんな本格的な長期連載をするつもりは全然なかったので、適当な在りものを組み合わせてとりあえず始めてみようという程度の考えだったのですが。



すでに工房のマスコットキャラとして工房長、ショーコ、理論の三人がいたので、それを以前考えて没にしたSF長編作品のプロットにぶちこんで、かいてんくんという主人公を新たに設定。
1回1エピソード2ページくらいのショートストーリーの連作で、長くても50回も行かないくらいで終わろうみたいな感じの想定でした。

でも実際に掲載してみたら結構好評だったので、一回あたりのページ数を増やして描いていくうちに、だんだんと普通のストーリー漫画の形式に変わっていったので、途中で改めて長期連載へのスタンスへと仕切り直ししたのです。
それがターコ登場回以降の話になりますね。
(冒頭の0話はこの時に描き足した部分です)

その仕切り直しの時に、とりあえずここまでは描こうと考えてたのが「~夢見るロボット工房~」のラストである、ショーコとダークマターとの直接バトルの決着でした。
その目標を達成した時に、そこで一旦連載を止めて別の作品を描くか、「かいてんげる」を継続するか考えて、やっぱりここまで来たなら物語の本当のラストまでやってみようと思って後編の「~目覚めし異邦人症候群~」の連載を開始したのです。
サブタイトルを変えたのは、舞台が宇宙に移って工房船がメインではなくなったのと、気分的に再度の仕切り直しでもあったからですね。



「~目覚めし異邦人症候群~」を開始した時は本当に最後までできるのかどうかわかりませんでしたが、無事にめでたく完結する日を迎えられて本当に安堵しています。
連載期間も21年間という長きにわたる形になりましたが、「~夢見るロボット工房~」が10年半、「~目覚めし異邦人症候群~」も10年半で、どっちもほぼ同じ連載期間になったのは偶然にしても出来すぎですね。(笑)

一体どのくらいのページ数描いたんだろうってのは連載期間中はあえて意識しないようにしてたのですが、完結したので改めて数え直してみると、「~夢見るロボット工房~」が568ページ、「~目覚めし異邦人症候群~」の方が1031ページの、合計1599ページになりました。
コミックス1冊180~200ページとすると、大体8~9巻くらいの量になりますか。
「~目覚めし異邦人症候群~」の方が同じ連載期間で倍近く量があるのは、「~夢見る」の方は途中で5カ月近く連載が中断してた時期があったのと、コミスタを導入した事による制作環境の効率化のおかげでしょうね。



そしてこれはおそらく初公開だと思いますが、上記の「かいてんげる」の元ネタになった没SF作品のアイデアメモ。
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こういうメモって書いた本人でも、後で読み返すと何を書いてるのか理解できないってなったりするものですが(^^;、それでも「かいてんげる」本編に通じるものが色々ありますね。
火星にあった先史文明とその滅亡とか、地球移住派と火星居残り派との対立とか、ロボットとか。

そしてヒロインの名前が西都原貴子。
外見もメガネをかけさせた以外はほぼ「かいてんげる」と同じですね。
「かいてんげる」でターコちゃんが登場した時点ですでにおタカさんの存在も関係も大体は決まっていましたが、細かい部分に関しては実際に描くまでだいぶ推敲しました。



なお「かいてんげる」のタイトルは平家物語の敦盛の最期から。
はっきり言って言葉のインパクトで選んだようなものですが、源氏と平家の確執とか、若武者を殺めてしまった事への後悔とかその後の行動とか、作品内容に合致する面もいろいろあったので、変なタイトルだなあと思いながら、サブタイトルも付けてそれっぽく体裁を整えてこの形になりました。
最終回掲載直後に、アニメ「平家物語」の敦盛の最期の回が放送されたのも何かの因縁っぽく感じたりして。(笑)

そして「かいてんげる」のタイトルにちなんで本編でも過去に源平合戦の時の因縁とかを出しています。
この過去編は本当はもっと本格的に描こうかなと思ってたのですが、実際に連載してみるととてもそんな余裕はなくて、「過去編描いてたら完結できないや」ってなったのでダイジェストで済ませました。
完結した今改めて考えてみると、この時はショーコもダーも共に記憶の封印を受けた状態だったので、ドラマ的な連続性はあまり無いかなとも思うので、詳しくは描かない方で正解だったのかもしれません。


とりあえず今回はここまで。
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2022年03月10日

かいてんげる~目覚めし異邦人症候群」第169回(最終回)掲載です

どうも大変お待たせいたしました。
かいてんげる異邦人症候群第169回の更新でございます。
これをもって、21年の長きにわたる「かいてんげる」の連載も無事最終回を迎える事が出来ました。

今日はちょうど21年前の連載開始の記念日でもあって、21周年めでたいな~みたいな事を狙ってたような感じになってますが(笑)、最終回の制作が思った以上に長引いてしまって、このままじゃ21周年越えちゃうよまずいよってことで、頑張ってこの日に間に合わせたのが実情という。(^^;

21周年までには完結するだろうって以前書いてたんですが、こういうのって結局事前に思ってたよりも時間がかかってしまうものだなあって改めて実感しています。

連載を改めて振り返って見ると反省点も多々あって、ああすればよかったこうすればよかったみたいな思いもありますが、それでも最後まで飽きることなく描き続けられました。
私が作中で一番気に入っているエピソードは、やっぱり理論とイェミリアのアンカーシューティング対決になりますか。


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今回のおまけは完結記念絵の文字なしバージョン。
おおゆき工房開設後に一番最初にアップしたショーコと工房長のイラストのセルフオマージュみたいな感じで、「あいや待たれよ」みたいなポーズをしている二人+いつもの面々って形にしています。

よく連載漫画の最終回に全員集合みたいな扉絵を描いていたりするので、自分もそういうのをやってみようかなと考えていたのですが、結局人数が多すぎるのと時間が無かったので、こういう形に落ち着きました。

最終回にも出来る限り今までのキャラ達を登場させようと思ってたのですが、理論の兄二人やセ航の学生たちの面々とか、どうしても描き切れなかったキャラも出てしまいました。
最終回は16ページで、結局これが連載で一番長い回になったのですが、それでもやっぱり足りないのは仕方がないですね。


かいてんげる連載に至る経緯とかストーリーやキャラの裏話とか、今までにも折に触れて書いていましたが、また改めてちょこちょことこのブログに書いて行こうと思っています。
まあ近いうちにウェブリブログのサービス終了に伴う引っ越し作業もしなくてはいけないので、引っ越し先でどんな感じになるのかはまだ不明ですが。


とりあえずかいてんげるの連載はこれで終わりですが、私自身は別に漫画を描くのをやめるわけではないので、それほど遠くない先に何らかの形で作品を掲載することになると思います。

それでは、改めて21年間どうもありがとうございました。
posted by おおゆき at 18:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする